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きんつうせいのうせきずいえん / まんせいひろうしょうこうぐん

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群

Myalgic Encephalomyelitis(略称ME)/ Chronic Fatigue Syndrome(略称CFS)

≫慢性疲労症候群について

最近コロナ後遺症と症状が良く似ているいるのでクローズアップされていますが、この病気は大変昔からあることがわかっています。

新型コロナ後遺症から一定の割合で、ME/CFS に 移行することが懸念されています。

実は20年程前に私自身が慢性疲労症候群と診断されたことがありました。完解していたのですが、現在新型コロナによって再発したような感じになっています。

未だ解明されていないこの病気は一体どんなものなのか、正しく知っていきながら、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

ME/CFSへの移行を避ける、または長く続く微熱、倦怠感、筋肉痛や筋肉の違和感、頭痛などの症状がある方の、生活上の対策として参考になるかもしれません。

慢性疲労症候群という病気をご存知ですか?いわゆる「慢性疲労」とは違い、原因の分からない極度の疲労感が、長期間続く病気です。診断基準ができたのが1988年と比較的遅く、1990年代ごろから、日本でも国際診断基準に基づく症例が報告され、現在も患者数が増え続けています

慢性疲労症候群は、身体を動かせないほどの疲労が6か月以上の長期間にわたって続き、日常生活に支障をきたすほどになる病気です。Chronic Fatigue Syndromeという英語名から「CFS」ともよばれています。

健康な人が、かぜや気管支炎などを患ったことをきっかけに、かぜに似た症状がいつまでも長引くのと同じような状態で発症することが多い病気です。休んでいても改善しなかったり、摂食障害や不眠などを伴っている場合は要注意です。こうした場合で、血液検査も含む全身の検査(ホルモンの異常、内臓や脳、神経系の検査など)をいくら行なっても異常が見つからないとき、慢性疲労症候群が疑われます。

コロナ後遺症について取り上げるメディアが増えてきましたが、Covid- 19が特別だから後遺症を起こすわけではありません。 慢性疲労症候群 はコロナ後遺症と共通点が多いですが、歴史上、新興ウィルスのパンデミック後に集団発生することを幾度も繰り返し、又ありふれた感染症でも発症してきました。

ただ研究段階にある為、医療者の間でも認知度が低く、これまで長い間 患者達は見放されてきました。 20〜30代の若年層で発症し、数年〜数十年と寝たきりになってしまう方もいるのは現実です。

慢性疲労症候群が語る「怠さ」の中には、トイレや歯磨きといった日常生活の中で疲れてしまう方もいるので、健常者と同じ物差しで想像しないで下さい。 Covid-19についてはまだ分からない事も多いとは思いますが、既存の疾患との共通点から知り得ることもあります。

Covid-19ではこれまでの感染症よりも慢性疲労症候群に移行する方が多いと世界から警鐘が出ています。(全ての陽性者や後遺症患者が慢性疲労症候群になるわけではありませんし、感染症を機に発症する疾患は他にもあります)

いたずらに煽るわけでも、政治的思想で言うのでもなく、世界中の研究が語っている現実を知って下さい。

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≫市販薬では解決できない?
  考えられる原因・症状
≫主な症状

微熱・頭痛・のどの痛み

慢性疲労症候群の代表的な症状として微熱があげられます。平熱より0.5~1.5℃程度高い熱が半年以上にわたって持続します。解熱鎮痛剤などを用いても熱があまり下がらないことも特徴といえます。 また、かぜをひいたときのような、のどの痛みや頭痛がするようになることがあります。

疲労感

慢性疲労症候群では、日常生活に支障をきたすほどの疲労感が引き起こされます。 ちなみに、仕事や育児など、疲労の原因がはっきりしている場合は「慢性疲労」であり、慢性疲労症候群には当てはまりません。

筋肉痛

全身または特定の部位に激しい運動をした後のような筋肉痛が現われ、動くことができないほどの痛みになることがあります。

不眠と過眠

自律神経の異常により、寝つけない、眠りが浅い、早く目が覚めてしまうなどの「不眠」や、朝起きられない、日中に極度の眠気に襲われるといった「過眠」の症状、さらにはこれらが、一日のうち同時に現われることもあります。

気分障害

うつ病に似た症状がでて、気分の落ち込みが続き、仕事にでられないほどまでになる場合があります。一般的には、うつ病の症状は朝に重く、午後に軽減される傾向がありますが、慢性疲労症候群の場合、午後のほうが憂うつ感が強まる傾向にあります。  また、注意力や集中力の低下などもみられます。物忘れがひどくなるなど、認知症のような症状がでる場合もあります。

慢性疲労症候群は多くの場合、ストレスになる出来事の後で通常は突然発症しますが、発症前には上手く生活できており、機能的にも問題がなかったケースがほとんどです。

 

主な症状は疲労です。この疲労は日常生活に支障があるほど重度で、通常6カ月以上続きます。

 

朝起きたときからひどい疲労を感じ、それが1日中続きます。この疲労は、しばしば身体活動や精神的ストレスを感じているときに悪化します。ただし、筋力の低下、関節や神経の異常などの証拠がみられることはありません。

 

ウイルス感染症様の症状が出ているときかその後で極度の疲労が生じ、発熱、鼻水、リンパ節の痛みや圧痛が伴います。しかし多くの人では、先にウイルス感染症様の症状が出ることなしに疲労が現れ始めます。

そのほかに、集中力の低下、不眠、のどの痛み、頭痛、関節痛、筋肉痛、腹痛などの症状が現れることもあります。

 

抑うつがよくみられます。特に症状が重度であるか、悪化しつつあるときにその傾向があります。

 

症状には、関連疾患である可能性がある線維筋痛症と重なる部分がしばしばみられます。

原因・病態は明らかになっておらず、一般的な血液検査、尿検査、画像検査では分かりません。
そのため、”市販薬では対処することができません。

慢性臓器不全、慢性感染症、慢性炎症性疾患、主な神経性及び代謝・内分泌疾患、双極性障害・統合失調症・精神病性うつ病などの器質的疾患・ 病態を除外された上で、上記の症状がある場合、慢性疲労症候群と診断されます。


出典:
厚生労働省(慢性疲労症候群患者の日常生活困難度調査事業)
・日本における現状と診断・治療 倉恒弘彦 難病と在宅ケア 24(6): 5-11, 2018.

慢性疲労症候群は、その原因が明らかになっていない病気です。しかし、様々な研究の結果、病気の起こる仕組みが少しずつ明らかになってきました。

私たちの身体は、神経系、ホルモン系、免疫系の3つがバランスを保って働いています。

 

ところが、ストレスをきっかけにして、神経系の働きに異常が生じ、免疫の働きが低下すると、体内に潜伏していたウイルスが再活性化されます。

 

そして、再活性化したウイルスを抑え込むために、体内では、免疫物質が過剰に作られるようになります。

 

この過剰に作られた免疫物質が、脳の働きに影響を及ぼし、強い疲労感や様々な症状を起こすという説が有力です。

 

また、慢性疲労症候群の患者の方には、ある特定の遺伝子に関する異常が認められていることも報告されています。

≫病名呼称

筋痛性脳脊髄炎(ME)

1938年から医療文献に記されている。1988年に、イギリス衛生省・英国医療協会により、公的にMEを真に存在する・重症の病気であるとした。脳脊髄炎と名前に含まれているが、炎症がないから不適切だと主張するものもいるが、患者に炎症が見つかっているケースがある。イギリス・カナダ等では、CFSよりMEという呼称が利用されている。

日本では日本医療研究開発機構(AMED)、障害者対策総合研究開発事業、神経・筋疾患分野の研究班における議論の後、「CFSの呼び名(病名)についても診断基準検討委員会において1年間かけて検討した結果、CFSというこれまでの病名は疲労という誰もが日常生活で経験している症状を病名として用いていることにより誤解や偏見を受ける可能性が高く、この問題点を早急に解消する必要性が指摘され、世界中の多くの医学会誌で用いられているME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)を用いることとなった」と結論づけている。

慢性疲労症候群(CFS)

1988年に、CDCにより名付けられた病名。アメリカ・日本等ではこの呼称は利用されている。しかし重症度が伝わらない等の理由により、関係者が改名を望んでいる。

ウイルスかんせんごひろうしょうこうぐん

ウイルス感染後疲労症候群

Post-Viral Fatigue Syndrome(PVFS)

まんせいひろうめんえきふぜんしょうこうぐん

慢性疲労免疫不全症候群

Chronic Fatigue Immune Dysfunction Syndrome(CFIDS)

アメリカや日本等の患者団体が、慢性疲労と間違われやすい・重症度が伝わらないということで利用している病名

まんせいかつどうせいイービーウイルスかんせんしょう

慢性活動性EBウイルス感染症

Chronic Active Epstein-Barr Virus infection(CAEBV)

ヘルペスウイルス科に属するEBウイルス(Epstein-Barr virus) が感染したTリンパ球やNKリンパ球の増殖が免疫系の制御が不十分となって誘発される高サイトカイン血症である。希ではあるが顕在化すると重篤な症状を起こす。

ヤッピー・フルー

「裕福層のインフルエンザ」を意味する蔑称である。1990年のニューズ・ウィークの記事で取り上げられた。裕福層にCFS患者が多く、仮病・バーンアウト症候群だと思われていたからである。現在では、裕福層だけに発症するわけではなく、あらゆる階級・人種に発症することが分かっている。この呼称は、世にCFSを精神疾患・怠惰なだけだという偏見を生み出してしまった。

Systemic Exertion Intolerance Disease(SEID)

新しく提案されている名称であり、正式な日本語訳はまだ存在しない。

天然原料
≫診断基準

普通の疲れは、質のいい睡眠やバランスのよい食事など十分な休養を取ったり、不足している栄養素を補給したりすることで回復する疲労です。

慢性疲労症候群の疲労は、十分な休養をとっても回復しない疲労になります。

米国の国立衛生研究所(NIH)や医学研究所(10M)が、2015年2月に慢性疲労症候群に対する新たな疾病概念として全身性労作不耐疾患(SEID:Systemic Exertion Intolerance Disease)を提唱しました。

SEIDにおける慢性疲労症候群の診断基準では、以下の3つの症状が必須条件としてあげられています。

 

  1. 症時期が明確な慢性的な疲労に伴い、病前の就労、学歴、社会的、個人的な活動レベルから大幅な低下を6ケ月以上継続してみとめる

  2. 労作後に増悪する極度の倦怠感

  3. 睡眠障害(熟睡感、回復感を伴わない睡眠)


また、以下の2つの症状のうち、いずれかの症状を認めることも診断基準になります。
 

  1. 認知機能の低下

  2. 起立不耐症(起立性調整障害)


ただ、SEIDは除外基準の記載がされておらず、有病率が高くでてしまうことから、さらに項目を加え臨床診断基準を定める場合もあります。

こんな症状ありませんか?

  • 微熱がある

  • 頭痛がする、頭重感がある

  • 筋肉や関節が痛い

  • のどが痛い

  • リンパ節が腫れている

  • まぶしくて目がくらむ

  • 疲れている

  • 寝ても疲れがとれない

  • ちょっとした動作ですぐに疲れる

  • よく眠れない、または寝すぎてしまう

  • 思考力や集中力が低下している

  • 意欲がわかない

  • ぼーっとすることがある

  • 憂うつである

自然医学
≫慢性疲労症候群の治療法

慢性疲労症候群の治療は、薬物療法が中心に行なわれます。そのなかでも、主になるのは「捕中益気湯」などの漢方薬を用いて、身体の免疫力を高める治療です。そして、体内の活性酸素による細胞の障害を防ぐため、抗酸化作用をもつビタミンCを大量に服用します。  

 

他にも抗ウイルス薬や免疫調整剤が使われることがあり、これらの投与によって免疫系の回復を目指します。また、うつ病向けの薬が効果を発揮することがあり、抗うつ剤、精神安定剤などが使われることもあります。

 

また、内科的な治療による効果がみられない場合、ストレスに対処するための方法を患者と医者が話し合いながら見出していくための、カウンセリングによる治療も行なわれます。

現時点では慢性疲労症候群の治療法は確立されていませんが、以下のような治療が考慮されます。
 

  1. 抗酸化療法(多量のビタミンC、CoQ10など)

  2. 免疫賦活療法(漢方薬など)

  3. 向精神薬(SSRI、抗うつ薬、抗不安薬など)

  4. 精神療法(認知行動療法など)

  5. 運動療法

 (4,5に関しては現在議論中)

 

近年では新しくうつ病の治療として、2019年6月に認証されたTMS治療(経頭蓋磁気刺激法)が慢性疲労症候群の治療の一つとして研究が進んでいます。

出典:ME / CSFに対する集学的治療  佐藤元紀名古屋大学医学部附属病院総合診療科 講師 難病と在宅ケア 24(6): 12-16, 2018.

  1. 認知行動療法

  2. 段階的運動

  3. 適応があれば、抑うつ、睡眠、または痛みに対する薬の投与

 (1,2に関しては現在議論中)

慢性疲労症候群の症状は多くの場合、時間の経過につれて軽減していきます。

 

ただし、症状が消失するまでには何年もの年数がかかることが多く、またすべての症状が消失するわけでもありません。

 

患者は、どの機能が失われたのかという点よりもどの機能を取り戻せるのかという点に集中した方が、回復の度合いが上がる可能性があります。

具体的な症状(痛みや、抑うつ、不眠など)の治療が行われます。

 

認知行動療法や段階的運動は患者の一部で役立つことが分かっているため、試してみる価値があるかもしれません。(こちら現在議論中)

≫慢性疲労症候群になりやすい人の特徴

慢性疲労症候群になりやすい人には、特徴的な心理特性があるという報告もあります。

TEG(Tokyo University Egogram:東大式エゴグラム)検査におけるFC(free child=自由奔放な子供であるという分類基準)、AC(adapted child=従順な子供であるという分類基準)は、慢性疲労症候群の心理状態、身体状態に影響があるようです。

具体的には、FC(free child)は、直感力、創造性、自由奔放さ、好奇心、表現力などを表します。

表現力が豊かで、周囲に温かさや明るさを感じさせるような特徴があります。

AC(adapted child)は、協調性、忍耐力、奥ゆかしさ、礼儀正しさ、などを表します。

従順で協調性が高く、受身的で絶えず周囲に気兼ねし、その期待に応えようと努力する特徴があります。


出典:慢性疲労症候群患者における心身の相互作用 - 構造方程式モデリングを用いた解析 野口敬蔵ほか 心身医学 57(6): 680-680, 2017.

≫慢性疲労症候群を予防するために

慢性疲労症候群の原因はまだわかっておらず、予防法も確立していません。

しかしながら、高いストレスの状態が続くと心身の疲労は蓄積します。

慢性的な疲労状態に陥ると免疫力は低下し、心身の不調が引き起こされやすくなります。

疲労を感じた時は、こまめに休養を取るように心がけましょう。

≫まとめ(作成者の個人的見解)

色々なサイトで調べた結果、様々な見解や説明がありました。表現の違いはあれど、どのサイトでも共通していたことは、メカニズムなどは徐々に明らかにされていても、解明されていることがあまりないといったことでした。

 

そして治療法も確立しておらず、難病にも指定されていません。ですのでなってしまったら患者さんの負担は、身体的にも、精神的にも、金銭的にもとても大きく、対症療法や、リハビリ、ストレスをなくす等で症状を少しずつ和らげていくしないのです。

​これを受けて、私たちは慢性疲労症候群の正しい知識を持って患者さんに接するべきだと感じました。また安易にコロナ後遺症と結び付け自己診断したりしないで、他の病気ではないかという可能性を捨てずに、クラッシュしないよう気を付けながら探ることも大切なのではないでしょうか。そして怪しいなと思ったら放置や無理をしないで早めに治療するようにしないとならないと思います。

 

(R2-11-28 なつ

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