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1、上咽頭とは

皆さん上咽頭とはどこにあるか、どんな役割を持っているかご存知ですか?

喉のような印象ですが実は鼻の奥の方といったほうがわかりやすい感じでしょうか。

上咽頭は鼻腔の後方に位置し、ここで左右の鼻孔から吸い込んだ空気が合流して、気管に向かって下方に空気の流れが変わる、中咽頭へと続く空気の通り道です。

しかし、重要なことは上咽頭が単なる空気の通り道ではないことです。

上咽頭は空気の専用通路であるため、鼻腔や気管と同じく表面は繊毛上皮で覆われています。口から吸い込んだ外気に含まれるウイルスや細菌が初めて体内に吸着するところです。

また、上咽頭の表面を覆う繊毛上皮細胞の間には多数のリンパ球が入り込んでおり、上咽頭そのものが免疫器官としての役割を担います。

そのため上咽頭は非常に炎症が起こりやすく、体に様々な影響を与えてしまいます。

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1、上咽頭

「風邪は万病の元」の諺が示すように、腎臓病、関節炎、膠原病、皮膚疾患など、様々な疾患が風邪をきっかけに発症することは古来より知られています。

実はこの「万病の元」として慢性上咽頭炎が重要な役割を果たしている可能性があります。

上咽頭は繊毛上皮に覆われて、空気の通り道として細菌やウイルスなどの病原菌が付着し易いのみでなく、免疫応答を担当する免疫器官としても働きます。

そのため、感冒などで上咽頭の免疫担当細胞が活性化されると、活性化されたリンパ球や単球に加え、リンパ球や単球が産生した炎症物質(サイトカイン)が血流に乗って全身を駆け巡り、遠くはなれた腎臓、関節、皮膚などに炎症を引き起こすという重要な機序が存在します。

2、上咽頭炎とは

1で述べたように、ウイルスや細菌などで上咽頭に炎症を起こした場合を、「急性上咽頭炎」と呼び、その他にも乾燥や花粉などで起こる場合もあります。

また、朝起きると痰が絡む、のどがイガイガする、のどの奥が詰まった感じがする、このような不快で辛い自覚症状を持ちながら毎日の生活を送っている人は意外に多いのではないでしょうか?

しかし、症状が気になって耳鼻咽喉科や内科を受診しても「異常ありません」と医師に説明され、時には「軽い炎症がありそうですから、痰を切れやすくするお薬を出しておきましょう」と去痰薬などを処方されて服用するも症状は一向に改善されず、いつしか治ることを諦めてしまった、という経験をもっている人々が日本には少なからずいると実感しています。

 

このように1~2週間以上長引く場合は「慢性上咽頭炎」と呼びます。

慢性状咽頭炎の患者さんはのどの奥下に何か異常があると感じるのですが、意外なことに不快な症状の根本原因は鼻の奥、すなわちのどの奥上の上咽頭にあることが多いのです。

 

この不思議な現象について医学部の学生時代には学ぶ機会はなく、医学の教科書にも載っていないので、この領域を専門とする耳鼻咽喉科医にもあまり関心を持たれていないのが現状です。

ですので大変見つかりづらく、向き合ってくれるお医者様が多くありません。酷い後鼻漏などで苦しんでいても原因もわからないまま悩んでいたり、時には心の問題として片付けられて、治療すら受けられない方も多いと思います。

Ga炎症シンチと上咽頭

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2、上咽頭炎

3、慢性上咽頭炎が関与しうる疾患と症状

上咽頭炎による直接症状

(放射痛を含む)

咽頭違和感、後鼻漏、咳喘息、痰、首こり、肩こり、頭痛、耳鳴り、舌痛、歯の知覚過敏、多歯痛、顎関節痛など

自律神経系の乱れを介した症状

全身倦怠感、めまい、睡眠障害(不眠・過眠)、起立性調節障害、記憶力・集中力の低下、過敏性腸症候群(下痢・腹痛など)、機能性胃腸症(胃もたれ、胃痛など)、むずむず脚症候群、慢性疲労症候群、線維筋痛症など

病巣炎症として

免疫を介した二次疾患

IgA腎症、ネフローゼ症候群、関節炎、胸肋鎖骨過形成症、掌蹠嚢疱症、乾癬、慢性湿疹、アトピー性皮膚炎など

3、関与する疾患

4、EAT(イート)治療(上咽頭擦過治療、bスポット治療)

上咽頭炎の治療として一番効果的なものはこれだと思います。

上の名前は最近統一された名前であり、昔はBスポット治療と呼ばれていました。

まだその名前のほうが広く知られているかもしれません。


私自身喘息が軽くなり、風邪を引かなくなったり、コロナ前から常にあった怠さや体の痛さが軽快しました。

治療の方法は0.5%~1%塩化亜鉛溶液を染み込ませた綿棒を用いて、鼻と喉から直接上咽頭に薬液を擦りつけます。(イメージ図参照)


この治療を上咽頭擦過治療、通称EAT<イート>治療(Epipharyngeal Abrasive Therapy)、といいます。

正直この治療は痛いです。炎症が酷いほど痛みが強いです。

でもやる価値はあります。

この治療は一回で終わるものではなく、良くなるまで継続して行うものです。


頭痛、後鼻漏、浮動性眩暈、咳など上咽頭炎そのものが関連する症状の場合は症状が消失すれば、EAT治療の際にまだ多少の出血がある状態でも一旦中止しても問題ないと思います。


起立性調節障害などの自律神経障害に対して行う場合は、症状が残っている場合、EAT治療による改善効果が実感できていれば、治療時の出血がない状態になっても迷走神経刺激作用は期待できますので、症状が完全に消失するまでEAT治療を継続した方が良いと思います。掌蹠膿疱症や腎炎などの自己免疫疾患についても同様です。

EAT治療の提唱者である堀口先生によれば、塩化亜鉛溶液を用いたEAT治療は安全で、妊婦に行っても問題はないとしています。実際、EAT治療施行歴60年で、これまで約4,000人の患者さんに計10万回を超すEAT施行経験の持ち主である谷俊治先生(東京学芸大名誉教授)のお話では、これまでEAT治療の安全性に問題を感じたことはないそうです。

EATイメージ

日本病巣疾患研究会

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0.5%~1%塩化亜鉛溶液を染み込ませた綿棒を用いて、鼻と喉から直接上咽頭に薬液を擦りつけます。

EATイメージ
EAT実施医療機関

自由診療なのですが、治療費は1,000円程度だと思います。(初診料やネプライザー、処方には別途かかります。)

ただ、上咽頭擦過治療を施術してくれる耳鼻咽喉科が今現在はなかなか少ないです。

それでも最近はテレビで紹介されたり注目を浴びているので増えてきています。

EAT 慢性上咽頭炎治療 医療機関一覧から探してみてください。

一度調べて近くになかった方も、こまめにチェックしてみてください。周辺の耳鼻科のホームページを見たり、電話して聞くのがいいと思います。

(2021年3月現在、296機関)

こちらは「認定NPO法人 日本病巣疾患研究会」からのリンクです。

4、EAT

5、塩化亜鉛上咽頭擦過治療(EAT)による多彩な効果発現のメカニズム

EATの作用機序は以下の3つに大別されます。

  • 第一は塩化亜鉛による収斂作用です。これにより上咽頭の炎症が沈静化され、炎症が原因の疼痛や放散症状が軽快します。また、リンパ球の活性化を伴う病巣炎症の鎮静化をもたらすため自己免疫機序により生じた二次疾患に好影響を及ぼすことが推察されます。

  • 第二の機序はEATの瀉血作用です。脳の老廃物は脳脊髄液・リンパ路・静脈循環を経て全身循環血中に排泄されますが、慢性上咽頭炎の際に認められる上咽頭の高度なうっ血状態はこの排泄機構の機能不全と関連することが推察されます。特に激しい慢性上咽頭炎の際にEATで認められる上咽頭からの著明な出血現象は、それ自体が障害された脳脊髄液・リンパ路・静脈循環の改善に寄与しているのかも知れません。

  • 第三の機序は迷走神経刺激反射です。上咽頭は迷走神経と舌咽神経の支配を受けていますがEATに伴う迷走神経刺激が同治療に伴う様々な症状の改善に密接に関与している可能性があります。

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21世紀に入って神経内分泌・自律神経と炎症反応が迷走神経を介して深く連関していることを示唆する興味深い発見が相次ぎました。迷走神経が関係する炎症反射はその一つです。

迷走神経は脳幹に端を発し、左右一組の神経線維の束として頸部を下り、胸部を通り抜けて腹部全体に広がります。曲がりくねった経路の途中で、直接、または間接的に体の器官の大部分と接続しています。迷走神経刺激により脾臓のTリンパ球が刺激されてアセチルコリンを分泌し、マクロファージにおけるTNF等の炎症分子の産生を抑制し、炎症反応が抑制されます。こうした発見をもとに、人為的に迷走神経を刺激して自律神経障害や炎症疾患を治療しようという発想が生まれ、電気刺激技術を利用して迷走神経を刺激することにより様々な病気を治療する、バイオエレクトリック医療が実臨床に試みられ、その成果が近年注目されています。

頚部の迷走神経を露出し、神経に電極を巻付け、リード線を皮下に通して胸部に植え込んだ電気刺激発生装置に接続する迷走神経刺激治療(vagus nerve stimulation, VNS)はすでに関節リウマチ、炎症性腸疾患などの炎症性疾患や自律神経系疾患の一つである線維筋痛症に有効である可能性が示唆されています。さらに、アルツハイマー病、パーキンソン病、糖尿病、高血圧、肥満、癌、喘息、肝炎、炎症性腸疾患、過敏性腸炎、過敏性膀胱、関節リウマチ、SLEなど極めて多岐にわたる疾患でVNSなどの神経刺激療法による効果が期待されています。そして、注目すべき点は、これらの候補に挙がっている疾患の多くがかつて堀口氏がBスポット治療が有効とした疾患と共通していることです。

5、メカニズム

6、上咽頭のセルフケア

全て自己責任で行ってください。

部屋の埃や花粉を除去し、
寝具を清潔にする

こまめに空気清浄機やハンディーワイパー、掃除機等で部屋の埃や花粉等を取り除きます。
寝具はダニが繁殖しないようにベッドなら下の通気をよくして、お布団なら干します。またシーツもこまめに取り換えます。
掃除機のおすすめは
dysonのコードレスクリーナーのV8以降の掃除機です。お勧めポイントは、吐き出す空気が部屋の空気より綺麗という点と、アタッチメントを変えると干した後のお布団のダニの死骸をよく吸ってくれる点です。因みに現行はV11ですが吸引力も静音性も更にアップしているようです。
空気清浄機もdysonがいいです。お勧めポイントは、空気中から花粉(PM 10)より小さい、PM 0.1レベルの微細な粒子を除去してくれる点です。うちには
空気清浄機付きファンヒーターがありますが、加湿器に空気清浄機がついているのもあるので下の「部屋を加湿する」の欄でご確認ください。

鼻うがい

はじめはちょっと怖いかもしれませんが、やってみるとすっきりするので癖になる方もいます。

ただやりすぎると中耳炎などになる方もいらっしゃるので適度に使用するのがいいと思います。それと、極端に鼻が詰まっている方は、水が行き場をなくして耳の方に行ってしまい炎症を起こすこともありますので医師と相談の上、注意して使用してください。

私の使っているのはハナクリーンαです。お勧めポイントは、ポンプ式で大変洗浄力が強く、ノヅルで的確にピンポイントを狙うことができます。また、別売りのサーレという商品で生理食塩水を手軽に作れ経済的なことと、そのサーレ一袋分の丁度の分量の生理食塩水が簡単に作れ、その作った生理食塩水が鼻うがい1回するのに最適な量であることです。

洗浄力が弱いですが、持ち運びには便利なハンディータイプがおすすめです。

※自己責任で行ってください。

セルフ擦過治療

こちらはEAT治療を受けたことのない方はちょっとイメージしにくいと思います。
イメージは
こちらです。
これを自分でやるのはちょっと勇気がいりますね。(^^;
近くて普通に通院できる方はいいのですが、そうでない方は何回も通うのが大変なので苦肉の策だと思います。(笑)

咽頭捲綿子鼻綿棒と脱脂綿はAmazon等で購入することができます。
塩化亜鉛は購入するのが難しいので、病院でいただくか、うがい薬などの代用品でできます。
初心者の方は若干塩化亜鉛の含まれる
リステリンの紫色のものがいいと思います。
私は
ASTRING-O-SOL(アストリンゴゾール)という、海外の最強のうがい薬を使っています。リステリンより塩化亜鉛の分量が多く、痛いけどよく効きました。
詳しいやり方等はいろいろなサイトやブログなどの体験記で紹介されていますで検索してみてください。

※自己責任で行ってください。

部屋を加湿する

私はdysonの加湿器を使っています。お勧めポイントは部屋を均一に潤してくれる点と、ミストを放出する前にタンク内の水に潜む細菌に強力なUV-Cライトをくまなく直接照射し除菌して清潔なミストを放出くれる点と、これ一台で空気清浄機の機能も兼ね備えている点です。そしてお手入れが簡単。

​お金をかけなくても出来るので、色々工夫して、お部屋を加湿してみてください。

鼻に蒸気を充てる

乾燥は敵です。もちろん冬も乾燥しますが、夏も冷房やエアコン、扇風機などの風で乾燥します。

私の使っているものはホットシャワーという医療用の器具です。

お勧めするポイントは生理食塩水が使えてまったく痛みを感じない点です。国内唯一だと思います。

※自己責任で行ってください。

マヌカハニー

毎日スプーン1杯程度のマヌカハニーを舐めています。普通の蜂蜜よりも抗菌力に優れています。お勧めポイントは、ねっとり滑らかで喉を長時間潤してくれることと、スーツとすることです。
私の愛用は
こちらです。(潤すだけならMGO115 +とかでも十分です。)

近年粗悪品や、効果を高く謳った高額すぎるものが出回っているので気を付けてください。

加湿
6、セルフケア

7、参考にしたサイト

7、参考サイト
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